人生何が起こるか、本当に分からない。


カチャカチャと食器を洗いながら、ソファーに視線を向ける。そこでは秋彦がノートパソコンを開いていて、渋い顔をしながら画面を眺めていた。
こうやって無駄に広い家の家事をして、秋彦がいて、鈴木さんがいる。今では特別でも何でもない、日常的な風景。
しかし、これは思い描いていた未来とは大きく異なるものだ。

ここまでのたった一年の間に、様々なことが変化した。昨年のこの季節、丁度一年前に秋彦と初めて出会った。美咲は受験生、秋彦は美咲の家庭教師で、孝浩のことが好きだった。
それから少しして、秋彦の失恋や孝浩の結婚と、大学合格、そして同居。更にあんなに気が合わないと思っていた秋彦とは、いつの間にかムニャムニャな関係になっていて、共同生活下での思い出も、尽きること無い。去年の自分は想像もしなかった未来。これがいつの間にか当たり前となっている現状に、不思議な気持ちになった。

未だにキスをしたり、体を重ねたりすることには慣れない。最近ようやく自分の気持ちが分かってきたような気がするけれど、それはやっぱり曖昧で、宙吊りな中途半端な位置をぐらぐらしているばかりで。
でも、この関係の変化は何よりも大切で、幸せなことだったかもしれないと思っていて。

「ウサギさん」
「何?」



ありがとう、
好きになってくれて


「いや・・・夕飯、何がいい?」


時間が経てば、自然に受け入れられるようになるのだろうか。今は無理でも、いつか自分が変わることが出来たなら、ちゃんとこの気持ちに素直になれる日が来るのだろうか。
食器を片し、洗濯物を取り込もうとベランダへ向かう。ちらりと秋彦の方を見ると、パソコンの画面が視界に入ってきた。

「てめっ、また苺グッズ買うつもりか!!」

これから先も、波乱万丈な予期せぬ未来が待つことをまだ知らない。それは高橋美咲、19歳の初秋。












どうやら更新できない、って発言すると更新するらしいですよ私、大分ひねくれてますね。とかいいつつも、この話は随分前に書いて放置してたものだったりします。ファイルを漁ったら出てきました。昔の文章って読むとパソコン壊したくなります←
他にも書きかけて放置状態のものがわんさかあります。





2010.06.08

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