※若干えろす(?)



自身が果てるのと同時に、体内に熱が広がった。 荒い呼吸を整えながら、秋彦は汗で額に張り付いた美咲の前髪を優しく梳いてくる。その心地よさに瞳を閉じると、唇に啄むようなキスが落とされた。

「好きだ」

鼓膜と脳を甘くふるわせる響きに、胸の奥に火傷のようなじわりとした、痛みとも何とも言い難いような感覚が生まれる。

「好きだよ」

熱を帯びた眼差しは真っ直ぐに美咲を見つめ、優しくとろけそうな笑顔は囁きを繰り返す。そんな彼の全てが、ゆっくりと、じわじわ体を侵食する。 染み渡るそれは、この幸せがいつまでも続くような錯覚を起こさせた。不意に秋彦が握られたままだった美咲の右手にぎゅっと、力を込める。そんな些細な刺激にすら心臓はトクリと脈打ち、胸の鈍痛は広がりを見せるばかりだ。
その刹那、衝動的にポロリと瞳から涙が零れる。秋彦は驚いた顔をした。

「どうした?」

目尻に這わせられた唇に涙が吸い取られる。今の気持ちを上手く説明出来なくて、首を横に振ると右手に力を込めた。 自分でもよく分からない感情。嬉しさとか、悲しさからではなく、愛しさから流れた涙。ただ目の前の人が愛しくて、好きだなあって思った瞬間、自然と涙が溢れていて。その時の気持ちは、自分の知ってるどんな言葉を駆使しても伝えることは出来なかった。

「ウサギさん」

自分の顔を移した瞳と視線をかち合う。好き、好きなんだ。やっぱり俺は、この人が何よりも。

「好き、だよ・・・・・・・・・・・・多分」

間を空けて語尾に付けられた言葉に、なんだそれはと秋彦は苦笑した。急に恥ずかしくなってそっぽを向くと唇が重ねられ、それは次第に深さを増していく。


荒々しくも優しい口づけに、次第に何もかもが溶かされていくような気がした。











裏、が書きたかったけれど書けなかったみたいな残念な話です。あと原作には無かった「多分」を言わせてみたかったんです。
題名はミクの曲とは特に関連してません。




2009.12.11

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